音楽ライフコーチングの高野(コウノ)です。
コーチングの観点からみた音楽指導のあり方について日々発信しているのですが、
多くの現場の指導者の方から共感のメッセージをいただき嬉しく思っております。
ですが、私は自分の意見が常に正しいとは思っておりません。
何が正解なのかは相手によるし、状況や段階にもよるからです。
指導論について語るときに私が良くないと思うのは、
「こうあるべき」といった一つの基準で、自分や周囲の人たちをジャッジしてしまうことです。
「これができてないからダメ」などと、一つのモノサシで良し悪しを決めてしまうことです。
指導の良し悪しは、様々な観点から見るべきです。
ある点から見たら良くなくても、別の点から見れば良いことがたくさんあります。
そして、それぞれの指導者にそれぞれの良さがあります。
私は、音楽指導者の方からもよく相談を受けるのですが、
自分のことを「指導者として力不足である」と感じている方が多くいらっしゃいます。
よく話をうかがってみると、その人自身は気づいていない、その人の良さがあるのですが、
本人は誰かと比べたり、ある基準で自分をジャッジしたりして、自分のことを「ダメだ」と思い込んでしまっているのです。
万能な音楽指導者なんて、この世には存在しません。
人それぞれに得意なこともあれば、不得意なこともあるでしょう。
不得意なことを克服しようとすることは素晴らしいことですが、自分らしさや自分の得意なことを積極的に生かしていくことも大切です。
例えば、指導者は説明下手であるより、説明上手な方が良いと一般には考えられます。
ですが、口下手であったとしても、「上手に見本を吹いてあげられる」とか、「いつも笑顔で安心感を与えている」とか、「生徒ができるまで根気よく見守り続けている」とか、他の優れた点を生かして生徒を導くことだってできます。
大事なことは、最終的に生徒が望む結果を出し、「指導を受けて良かった」と思ってもらうことです。
そのためのアプローチはたくさんあるのです。
あなたの指導の仕方が気に入らないという人には、他の気に入る指導者を選んでもらえば良いでしょう。
あなたは自分の強みを生かして、自分を必要としてくれる人に対して一生懸命指導すれば良いのです。
他の指導者と自分を比べたり、誰かの正解に囚われて不必要に自分を責め、自分らしさを失ってしまえば、自分の指導への信頼も揺らぎ、指導が重荷になってしまいます。
正解は一つではありません。
誰かと比べる必要もありません。
「良き指導者であろう」と思うことは素晴らしいことですが、「指導者としての理想」を追求する以上に大切なことは、生徒が望んでいる状態を実現させてあげることです。
生徒を置き去りにし、正しい指導や理想の型に囚われて「あれができてなかった」「これができてなかった」と反省ばかりするのは指導者のエゴでしかありません。
コーチングを学んだばかりの人の中にも、「質問の仕方が悪かった」とか「相槌の仕方が悪かった」などと自分のスキルの反省ばかりして、肝心のクライアントがどう思っていたかを気にしない人がいます。
何のためのスキルなのか?何のための型なのか?
指導者がどう感じようと、生徒があなたを信頼し、気持ちよくレッスンを受け、望む結果を出せているなら、それで良いのです。
「こうあるべき」といった型に囚われて、肝心な生徒の気持ちや望みを置き去りにしてしまわないようにしたいものです。
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